こんにちは。平田です。
開発者視点からOpenShiftの機能などを評価するには、Minishiftを使うのが簡単です。一方で、運用者視点から評価したり実案件に投入するには実際にOpenShiftクラスタを構築する必要があります。
そこで、インストール手順を確認するため、インストールマニュアルをもとにOpenShift Origin 3.9のクラスタを手元のラップトップに構築してみます。このエントリでは、インストール手順の概要、構築するクラスタの構成について説明します。
インストールマニュアルの内容
手順を概観するためにインストール手順を見てみます。尚、マニュアルはOpenShiftの構成要素や役割についてある程度理解している前提で記載されています。ちんぷんかんぷんでも構築できるような代物ではないため、OpenShift自体について良く分からない場合は一旦入門記事などをあたりましょう。
インストールだけでなく設定手順も含まれており、巨大な文書です(全36章)。インストール手順を確認したいだけなので、2. Installing a Clusterを確認します。この章だけでも相当長いので必読のものだけピックアップします。
- Planning: 構築時の考慮事項、構成例、複数あるインストール方法。
- Prerequisites: システム要件、環境要件。
- Host Preparation: インストール前に実施する依存パッケージの導入など。
- Advanced Installation: 複数あるインストール方法のうち “Advanced Installation” の手順。
注意事項を見ずにインストールすると後々ハマるため、上記だけでも目を通しておいた方が良いです。
インストール方法
Planningにはインストール方法が複数記載されています。
- Quick or Advanced
- Quick Installation: 3.9から非推奨、廃止予定。Red Hat 製品版の場合、コマンドライン対話形式でインストール可能。
- Advanced Installation: Ansibleプレイブックを使ったインストール方法。
- RPM or Containerized
- RPM Installation: OpenShiftの構成要素のRPMパッケージをインストールする方法。
- Containerized Installation: OpenShiftの構成要素をコンテナとして動作させる方法。
今回は Advanced Installation + RPM でインストールします。
インストールの大まかな流れ
Advanced Installation + RPMを前提としたインストールの大まかな流れは以下のようになります。
- 構成を考える。設計(マニュアルのPlanning参照)。
- master, nodeを何台用意するか?
- 環境、ホストを用意する(マニュアルのPrerequisites, Host Preparation参照)。
- 環境: DNSサーバを用意する。
- 環境: 内部コンテナレジストリ用のネットワーク接続されたストレージを用意する。
- 無くても動きますがコンテナレジストリのデータが永続化されない。
- ホスト: master, node用のホストを用意する。
- RPMインストールの場合はFedora, CentOS, RHELの指定バージョン(Red Hat 製品版はRHELのみ)。
- Docker Storage用の追加のブロックデバイスが必要。
- ホスト: master, nodeに依存パッケージをインストールし、Ansibleプレイブックを取得する。
- OpenShiftをインストールする。
- 検討した構成、及び用意した環境に合わせてAnsibleインベントリファイルにインストールパラメータを指定する。
- Ansibleプレイブックを実行する。
- 動作確認。
インストール工程こそAnsibleで自動化されていますが、検討事項や用意すべき環境など、ちょっと試すにはハードルが高めです。
インストール手順を試した構成
インストール手順の確認は開発用のラップトップでVirtualBoxを使って実施します。以下のような構成とします。
尚、内部レジストリ用のストレージとしてNFSを使っていますが、非推奨だそうです(マニュアルのAdvanced Installation > Configuring an OpenShift Container Registry 参照)。また、dnsmasqを使用して簡易のDNSサーバを立てます。
その2に続く。
ピンバック: OpenShift Origin 3.9 インストールその2 環境とホスト作成 – ナッツウェル 技術研究室